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12 26, 2004

たかがビラ配りだが・・・その2


12月18日付けの「たかがビラ配りだが・・・」に、コメントを頂きました。

確かに、前回の記事の内容では、誤解をする方もいるかと思うので、こちらに記事として返事を書かせて頂きます。

 住民が「止めてくれ」といったら止めるのが常識とおっしゃいますが、集合住宅の場合、住民のうちの一人でも反対したら、ビラ配りは全くできなくなるのでしょうか?
 例えば、自民党員がビラを配った場合、民主党員である住民が「止めてくれ」と言ったら、その集合住宅すべてにビラを配ることが住居侵入罪になるとしたら、かなり問題だと思います。
 なぜなら、これを認めると、住民の一部が他の住民の外部からの情報にアクセスする自由を侵害することを認めることになるからです。
 集合住宅については「ビラ配り」を止めてくれといえる主体が誰なのか(住民の全員一致か多数決によるのか)を考えてみる必要があると思います。


投稿者: 青龍 (12月 25, 2004 11:26 午後)




集合住宅の場合、住民のうちの一人でも反対したら、ビラ配りは全くできなくなるのでしょうか?

これは簡単な話で、そんな事は全くありません。

例えば、少年の頃、友人とキャッチボールをしていて、ボールが他人の家の庭に転がって入ってしまった場合の事を思い出せば、分かるはずです。
他人の家に入ったボールを、取りに行く場合どうしました?
「すみませ~ん、ボールが入ったので取らせて下さい」と住居者に断って、そして取りに行きましたよね。
他人の庭に、無断で取りに入る事は、それは悪いことだと言うのは、小学生にも分かる理屈でした。


そこで、この裁判を思い出して下さい。
裁判官は、刑事罰に処するに値する程度の違法性が無いので無罪とは言いましたが、「住居侵入罪」に関しては、構成要件を成立すると判断をしています。(つまり、無罪だが、法を犯していると認めた)
つまり、ビラ配りに関しては法を犯しているのは、ビラを配っている側であり、住居者側は何ら法を犯したわけではない、そう認めているんですね。


となれば、住居者側から拒否されたわけですから、ビラを配る側はそこで一端ビラの配布は中止して、その後は先ほどのキャッチボールではありませんが、小学生にも分かる理屈で、住居者側の代表者なりに、今度は正式に通知を行い、ビラ配りに関する許可を得てから、配布を再開すれば、問題なくビラ配りは続けられるわけです。

ですから、青龍さんが気になされている

住民の一部が他の住民の外部からの情報にアクセスする自由を侵害することを認める

には該当しません。

外部の情報を配る側が、正式に許可を求め、多数の住民、もしくは委任された役員会で許可されれば、何ら問題なく自由に情報を配る、得る事は可能になるのですから。
今回のケースは、単に最初に「許可を得るべき立場の者」が、許可を得ずして活動し、その後注意されたにもかかわらず、正式に許可を得るべき人が許可を受けずに、活動を続けた事が問題になっているのだと私は考えます。


 


住居者側の総意、もしくは理事会などの代表者の正式な抗議が無い限り、その住居侵入という違法行為を続けても良いとの判断が許されるなら、何のために住居侵入罪があるのでしょうか。
誰が考えても分かると思いますが、住居者側が、住居者の総意を得るための総会を開く、もしくは、理事会に掛け合って役員会を開き、議題として決議を取り、正式に抗議の手続きを行う間に、ビラ配りは既に終了して、その人達はすでに敷地内にはもういないのは明白でしょう。

そのような手続きを得ていないので、住居侵入は止めなくとも良いとか、他のピザ屋も入っているので言われる筋合いは無いとか、その辺りを持ち出す時点で、すでに子供の屁理屈の世界だと私は思うんですよね。
子供がいたずらをして叱った場合、「だって○○くんもやっているんだよ」とか「だって正式に止めてくれと言われなかったんだよ」とか、いろいろ屁理屈を言ってごまかす子供はいますが、まさに同じようなものでしょう。


 

ビラを配る側と、住居者側の立場をきちんと理解しなければなりません。
住居者側が、正式に拒否の抗議を行う為に、理事会に掛け合ったり、正式な通達がされるまで、その負担を強いられる立場にあるのではなく、法を犯しているビラ配り側が、きちんと正式な手続きを取る負担を行うべき立場にあるんだ、と言うことですね。


 

本来は何事も、他人の住居に入るのですから、予め住居者の許可を得てから、侵入するのが当然でしょうが、社会通念において、わざわざ事前に許可を得ずとも侵入しても問題ないケースや、事実上の暗黙で許可されて侵入しているケースもあるでしょう。
ですから、私は何も事前に何の了承も得ずに、住居侵入した時点で取り締まるべきだとは、これっぽちも思ってはいません。
しかしながら、住居者の1部でも拒否や抗議をされた場合、これは明らかに不法侵入なのですから、改めて許可を得るまでは他人の住居に侵入しないってのは、これまた常識でしょう。

この常識的な手順を踏まずに、加害者だけを守るような判決は、疑問を抱くわけです。


私は、もちろん法律の専門家ではありません。
ですから、私の法解釈は専門家から見れば、一般的な解釈ではないのかも知れません。
しかしながら、今回の判決が法律の専門家の間でも、一般的な正常の判決と考えているのであれば、住居者からの拒否にもかかわらず、活動を止めないものに対し、反対に、どうやれば彼らの活動を止めさせることが出来るのか、私は聞きたいですね。


 

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コメント

 丁寧な対応ありがとうございます。
 いくつか気になった点があったのでその点についてコメントさせていただきます。

 まず、構成要件に該当する=法を侵しているというの少々乱暴なように思います。例えば、正当防衛で加害者を傷つけてしまった場合でも、傷害罪の構成要件には該当しますが、これを以て、正当防衛をした者が法を侵しているとは言わないでしょう。
 今回の判決においても、構成要件該当性は認めましたが(私としてはこの点に少々疑問があるのですがそれは置いておいて)、行為の態様や表現の自由への配慮から違法性を阻却している以上、これを以て法を侵していると評価するのは少し疑問です。
 これまでの社会一般の理解についてみても、住居侵入罪が制定されてから今日に至るまで、単なるビラ配りや訪問行為が住居侵入罪に当たるとされた事例はほとんどありません。今回被害届を出した防衛庁も自衛隊員募集のビラを集合住宅に配っていたことが裁判で指摘されています。これらの事実からいえるのは、そもそもビラ配りや訪問行為が住居侵入罪に該当するという認識は世間一般では共有されていないということだと思います。
 とすれば、ビラ配りは原則として違法行為だから、住民の一部から注意されたら、いったん止めるべきだという主張は成り立たないのではないでしょうか。

 次に、住民の多数決などで許可を得ればいい、とされている点ですが、そうすると、多数派は反対だが少数派は容認という場合、依然として住民の外部からの情報にアクセスする権利を侵害する点では変わりないのではないでしょうか。特に、今回の事例の場合、容認派がその意思を他の居住者に表明することがそもそも困難なように思います。
 つまり、多数決による許可が必要だとすることは、その集合住宅の居住者は自らがそのようなビラを受け取ることを是とすることを表明しなければ、情報に受動的にアクセスすることはできないということになり、知る権利という観点からも疑問が生じます。
 結局、情報を受け取ることを是とする住民の権利・情報の発信者の権利と、情報を受け取りたくない住民の権利をどのように調整するのかという問題に帰着すると思うのです。そこで、重要なのはこのビラ配りによって侵害される住民の権利・利益とは具体的にどのようなものかということです。これをどう捉えるかによって、調整のあり方も変わってくると思うのですが、akinopapaさんはどのようにお考えでしょうか?
(少々長くなってしまったので、私のBlogでもう少し掘り下げてみたいと思います。)

投稿: 青龍 | 12 26, 2004 11:00

この事件は今日初めて知ったので、深いところまでは知りませんが、ちょこっと調べた限りでは、この件で有罪ってのは無理があるような気がします。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20041224k0000m070111000c.html
(この記事自体は、[取り調べの際、「立川の浮浪児」「この寄生虫」などと言われたという。]等と、被疑者の主張を中心に展開しており、個人的に公平な記事とは思っておりませんが)

この記事の情報を見る限り、この件は無罪が妥当じゃないでしょうか?

>取り調べに名前も住所も答えず黙秘していたことなどから起訴後も保釈が認められず、初公判後の5月11日まで75日間にわたり拘置された。

「立川自衛隊監視テント村」の関係者という事もあって、確信犯的なプロである事は疑いようもないのですが、だからと言って、正式な抗議もなしに、いきなり逮捕はとは無理があるのでは?

>別の自衛官は「テント村」の事務所に直接抗議しなかった理由を尋ねられ、「注意しても通じないと思った。連絡を取ることで、自分の言葉尻をとらえられて公表されるのが怖かった」と語った。

この件の最大の責任者は防衛庁ではないでしょうか?
「立川自衛隊監視テント村」というプロに対して、自衛官個人(一市民として)で対処すること自体が無謀というか、無理があるでしょう。
民間の集合住宅なら兎も角、防衛庁官舎という状況を考えれば、住民の総意として反戦ビラの投函拒否という事は容易でしょう。

何故、反戦ビラが投函される→配布元に抗議&配布停止要求→再び配布された場合は警察に通報というマニュアルを作っておかなかったのでしょうか?

最大の問題は「防衛庁官舎の代表者が、配布元に抗議&配布停止要求」を飛ばした事でしょう。
これさえあれば、私の意見はakinopapaさんと、まったく同意です。
匿名の団体が配布しているのではなく、素性のハッキリした団体が配布したのであれば、防衛庁なり防衛庁官舎の代表が、正式に抗議するべきだったと思います。

忘年会で呑みまくった後なので、支離滅裂な文章になっていたらお詫びします。自分でも何を書いてるのかわかってないです(笑

投稿: 色々種 | 12 29, 2004 03:03

色々種さん、コメントありがとうございます。

この件は、いろんな要素を含んでおり、確かに判断は分かれるところでしょうね。

毎日新聞の五味香織記者は、冒頭で「ビラを配っただけで罪になるの?」と書いてあるように、私とは違う先入観で、この問題を取り上げ取ります。

結局、ビラを配っただけで逮捕、起訴されたのであれば、確かに有罪は難しいと私も思いますが、「部外者(関係者)以外立ち入り禁止」と書かれた敷地に、住民から注意を受けた後も、ビラ配りを止めなかった事は、果たしてどうなのか、と言う話になれば、非常に可能性も上がって来ると思います。

人によっては、ビラ配りは正当な活動であるので、住居侵入には該当しない、よって正式に抗議、拒否されても、法律上はビラ配りなら止める必要はない、と言う人から、住民でも注意を受けたのであるから、住居侵入を意識した上で行っているのであるから有罪である、と言う考えまであります。


色々種さんの問題点は、「正式抗議」があったかどうかを問題にされていますが、もちろん、それも考えとしてあると思います。

個人的には、繰り返しになりますが、入口に「部外者の立ち入りを禁止する」という標識は、この集合住宅の住民の正式な立場を表明しているもので、住民から抗議があれば、立ち入る側が正式な許可を得てから、行うべきだという考えです。

ビラを配る組織、団体に対し、毎回正式な抗議を防衛庁が申し立てるのは、それこそ現実的でないと考えます。(個人の場合もあるでしょう)

なぜなら、組織・団体は無限にあるし、新たに作ることも、参加する事も自由なので、正式な抗議が無い限り、彼らの行動を拒否出来ないとすれば、事実上はビラを配る限り、住居に侵入を続ける彼らを取り締まることは不可能です。
個人が対象であるなら、なおさら抗議も難しくなります。

今回は、たまたまテント村のメンバーでしたが、配る人は何もその組織だけとは限りませんから。

それと、これはあくまでも極論ですが、朝鮮総連の建物に、右翼団体が近づくだけで、何も法を犯していなくとも、警官は彼らを取り巻きますし、いくら右翼が「俺はビラ配りに来たんだ」と行っても、彼らの敷地への侵入を許すとは、とても思えないんですよね。(笑)

投稿: akinopapa | 12 29, 2004 19:11

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