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7 09, 2004

高裁、お前もかっ!

戦時中の中国人連行、西松建設に賠償命令…広島高裁

 戦時中、広島県加計町の発電所建設のために強制連行され、過酷な労働を強いられたとして、中国・莱陽市の宋継堯さん(75)ら中国人2人と遺族3人が西松建設(当時西松組、本社・東京都港区)を相手取り、2750万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が9日、広島高裁であった。

 鈴木敏之裁判長は「重大な人権侵害であり、10年の時効を援用するのは権利の乱用」として、請求を棄却した1審判決を取り消し、西松建設に2750万円の支払いを命じた。中国人強制連行訴訟は全国で10件が係争中だが、高裁が賠償命令を出すのは初めて。

 訴えによると、宋さんら5人は1944年、日本軍の捕虜となったり強制連行されたりした後、同発電所の建設現場で十分な食事も与えられないままトンネルの掘削工事に従事させられた。作業中、現場監督から暴行や脅迫を受け、うち2人は広島に投下された原爆で被爆した。宋さんらは「労働力不足を補うために国に強制連行を働きかけた西松建設に責任がある」と、1998年1月に提訴。

 一審・広島地裁は2002年7月、「劣悪な環境で長時間の労働を強制するなど、人間の尊厳と名誉を顧みなかった」と西松建設の不法行為(強制連行、強制労働)と安全配慮義務違反を認定した。しかし、不法行為について、損害賠償請求権が存続する「除斥期間」(20年)が過ぎたとし、安全配慮義務違反に関して「消滅時効」(10年)が成立したとして、請求を棄却した。

 控訴審で、宋さんらは除斥期間について「正義公平の理念に反し、適用は制限すべき」とし、消滅時効の起算点について「強制連行被害者が初めて西松建設と接触し、権利行使が実質的に可能になった1993年。提訴時に請求権があった」と主張していた。

 中国人の強制連行をめぐる訴訟では、北海道の炭鉱で過酷な労働を強いられ、終戦を知らずに13年間も山中で逃亡生活を続けた劉連仁氏の訴訟の東京地裁判決(2001年7月)や福岡地裁の三井鉱山福岡訴訟判決(2002年4月)では、除斥期間適用を制限し、損害賠償を認めた。

 消滅時効についての判断は、初めて国に賠償を命じた今年3月の新潟地裁判決が、成立していないとの判断を示した。一方で、三井鉱山福岡訴訟の控訴審・福岡高裁判決(今年5月)は時効などを認め、原告が逆転敗訴した。(読売新聞)


私だけでなく、いろいろ言いたい人はいるでしょうが・・・

有名な藤山(行政裁判で、住民側に勝訴を乱発する)、片山(新潟で同じく強制連行で時効を認めず原告勝訴)、亀川(判決や主文でなく、暴論で靖国参拝を違憲判断)などは、何れも地裁レベルであった。

地裁ではある程度、裁判官としても経験が不足していたり、独りよがりな暴走もあり得るレベルだったかも知れないが、今回は高裁にて起きた判決である。日本は、ご存知三審制なので、まだ最高裁が残っているので、今回の判決も最高裁の常識で逆転されるだろうと信じますが、それでも、地裁レベルだったのが、いつのまにか高裁にまで来てしまい、最高裁までこの手の裁判官がなってしまうようだと、この先日本の裁判はどうなるのか、非常に不安です。

まあ、高裁レベルまでおかしな判決が下されるほど、裁判官も人材不足と言うことなのでしょうが、最近は司法試験を受かった人は、お金になる弁護士に進み、優秀な人もそちらに流れこむ人が多いのでしょうね。
検察も人手、人材不足である事は、随分前から指摘されていますが、裁判官も質が低下しているのであれば、由々しき問題ですね、裁判官に優秀な人材を集める意味でも、収入を上げても良いかも知れません。


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敢えて、素人ながら、この判決での2つの問題点を指摘したいと思う。

1)「強制連行・労働は著しい人権侵害で、時効の援用は権利の乱用」
この見解は正しいのだろうか。

何を基準として「著しい」と判断されるのか、これまた別問題だが、要するに酷い人権侵害の場合は、時効の援用は使えないと言い切ったわけですよね?

これは民事裁判ですが、基本的に殺人は、最もたる人権侵害だと思うのですが、鈴木裁判官の言葉を借りれば、人を殺して被害にあった場合には、時効の援用が今後は出来なくなるので、永久に賠償を犯人に請求できることになるますね、刑事裁判では時効となっても、犯人が見つかった場合ですが。

いやもちろん、個人的には時効など無くても良いケースはあると思いますが、それでは、時効を認めた現民法に違反する、もしくは主観なので裁判官次第で判断が分かれ、司法で統一性が取れなくなると思うのですが、どうなんでしょうか。
この間の靖国神社違憲判決でも書きましたが、客観性で物事を見るのではなく、個人の正義感などの主観で物事を判断する、パフォーマンス的な判決が増えている気がしてなりません。
確かに、過去に犯した罪があれば、それを時効などで逃げず、きちんと謝罪と賠償を行う、これは人道的には正しい行為だと思いますが、しかし、一方では法で認められた権利を、裁判官の主権で認めないのは、明らかに法治国家としての整合性をどう考えるのでしょうか、非常に疑問です。

断っておきますが、司法の場で、大岡裁定は不要だとは申しません、むしろ社会的弱者救済になるケースもあり、賛同する面もありますが、一方的な正義感だけでは困ると言うことです。


また、理由を「権利の乱用」としていますが、これは確かに民法(刑法いは無いはず)で認められた規定ですが、ご存知のように「権利の乱用」に関しては、法律上の明確な基準が存在するものではなく、あくまでも裁判官個人の主観に依存するので、例えば新潟のケースでは「正義」と言う言葉も登場しておりますし、今回の場合も「著しい」など、人によっては、判断基準が大きく違う事を根拠に、援用されるものです。 したがって、「権利の乱用は、これを乱用してはならない」ともいわれているはずです。

この精神に返って、今回の訴訟を振り返った場合、1972年の日中共同声明との絡みも含めて、職権の乱用が正しいかどうか、素人にも分かるように説明が欲しいものです。


2)強制連行は実際にあったのか否か
もし、権利の乱用を百歩譲って認めたとしても、賠償命令が出たと言うことは、強制連行があったと判断されたわけですよね?
この理由はなんだったのか、判決文を是非とも読んで見たいです。

当時も、違法的な強制労働については、日本人に対しても行われたと思われますが、強制連行に関しては、日本に渡ってきた労働者全てが強制労働ではなく、出稼ぎで渡って来た人も多く、強制連行かどうかの判断は非常に難しい問題だったはずです。
今回の訴訟の原告が、強制連行であったと判断した理由、証拠など非常に興味があります。
今でも、ネット上でも強制連行に関しては、判断が分かれており、このたびの原告が提示したであろう、強制連行の証拠が、裁判官にてその能力を認められたわけですから、その論争にも大きな影響を与えるでしょうね。

また、第二次世界大戦中での出来事を、どの法を適用して賠償金額を算定したのでしょうね。
現在の日本憲法は、戦後に制定されたものですから、現行法を持って制定される前の行為について裁くわけにはいかないでしょう。
ましてや、訴えられている一つは企業ですよね、当時、法に触れていないのであれば、それを非難することは出来ないと思われるのですが、この辺も、判決理由を読みたいですね。
当時の物価で判断すれば、5~10万円もあれば、現代の500万円に比べても、随分と大金だと思いますが、さすがに実際に苦痛を受けた当時と、判決される現代との物価の差額は、この手の裁判では妥当なのかな。って、そっか、時効を無効にする判決そのものが珍しいんだっけ。(笑)

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まあ、それにしても、考えようによっては恐ろしい判決ですね。
日本人も当時は強制労働させられていましたし、彼の判断では賠償せねばなりませんね。
他にも何百万人といわれる「強制連行者」がいるようですので、彼らも訴えれば、賠償ですね。

確かに、裁判長は目の前の裁判だけを目を向け、考え、その他の事情など排除することで、公平で正しい判決が出せるものなんでしょうけど、戦時中の賠償問題に関しては、日中共同声明や日韓和平条約などでわざわざ「放棄」させたのは、こんなのを認めれば、いつまでたっても戦後は終わらない事が明白だからではないのかな?

だから、戦中のことは自国にて何とか解決するべき話なのではないのかなと。
これを認めれば、日本はアメリカが落とした原爆の被害者、大陸で中国やソ連から受けた行為に対しても、個人レベルで訴えると言うわけですな。でもって、鈴木裁判長の判断では、それらも人権侵害なので、賠償させるべきだと。
第二次世界大戦で、どれだけの被害者が出たと思っているのでしょう、いちいちそんなのを認めて裁判していれば、どれだけの時間とお金がかかると思っているのでしょうね。
いつまでも戦後を引きずっては、両国にとっても不幸だと思う。

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