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7月 30, 2004

戦後の日本とドイツ(ほか)

また、大豆さんから貴重なご意見を頂きましたので、長くなりますので、こちらに場所を動かしたいと思います。
なお、以下の引用は、今回のレスで使う部分の抜粋です。
全文はこちらからお読みください。


 ただ、感じるのは、日本とドイツの戦後処理には大きな差があると言うことです。戦後補償に対する対応は似たり寄ったりですが、「戦争犯罪」に対するスタンスは大きく違います。中国の雑誌がドイツの常任理事国入りを支持して、日本を支持しない理由はこの辺にあるのではないのでしょうか。

2002年7月の記事 http://www.worldtimes.co.jp/w/eu/news/020705-201912.html
>元ナチス親衛隊に禁固7年-独
> 【ベルリン5日豊田剛】ドイツのハンブルク地方裁判所は五日、
> 殺人容疑に問われていた元ナチス親衛隊のフリードリッヒ・エン
> ゲル被告(93)に、七年間の服役を命じた。
>  エンゲル被告は、イタリアのジェノバでナチス親衛隊を指揮し
> ていた一九四四年当時、ドイツ人戦士五人が殺された報復として
> イタリア人囚人五十九人の殺害を指示した。
>  被告は昨年、新聞紙上で「殺害も命令もしていない」と容疑を
> 否認、自らもナチス戦争による犠牲者であることを強調した。後
> に、殺人現場に居合わせた証人が現れたことなどから、裁判官は
> 「残酷かつ不法な殺人」と判断した。

 わずか2年前です。1つしか見つけられませんでしたが、同様の旧ナチス関係のニュースは過去に何度も見ました。「なあなあ」ではなく「見え見えに」正式処理することで、ドイツは周辺諸国や国際社会にバッシングの材料を与えない、という外交戦略をとっています。国益を考えて、もっともいいと思われる道を選択したのでしょう。
 日本はどうでしょう。現在も中国で毒ガス処理していますが、日本国内にもプロパガンダしない(メディアにも問題ありますが)。情報隠蔽体質で(というか旧軍人やその遺族に気を遣って)ずっと来ていると思うんです。それがポッと出の反日運動家たちに大騒ぎの口実を与えてしまっているんだと思います。靖国参拝なんて、やめてしまえばいいのに。それが国益だと思うのです。ドイツでは、旧ナチス親衛隊員の墓なんか国家元首がお参りしたら大変なことになります(過去にありましたよね)。

 私も広義で言えば「遺族」の端くれ?でしょうか。おじいさん(母方-旧陸軍少尉)が沖縄戦で自害しています。子供の頃は靖国に初詣に行きましたが、もし、死者を悼む気持ち、敬う心があるなら、なにも靖国に出向かなくてもおまつりすることはできるはずです。国益を損ねてまで、なんで行く必要があるのでしょう。政治家の私利のため? 行かないでください!

 国家同士の約束事なんて、個人にはあんまりピンと来ないですよね。「見え見え」であっても、賢く振る舞ってもらう方が「わかりやすい」=国益にかなうと思います。
 それでも騒ぐ輩はいるでしょう(政府がその騒ぎをどうするかは情勢次第)。日本だって安保闘争とかしてきたわけで、その時、市井のアメリカ人が「腹立ちます」と言ったかどうか知りませんが、そうした自由は中国人にもありますからね。
 私の望みは「日本が国としての総括をすること」と、政治家は言動に気を配り「カシコイ国家になってほしい」ということです。これまでのやり方を続けていては、いつまでたってもODAを外交カードだと思ってるのは日本だけ……。(^_^;

 日本国民も「キレない」ことが肝要です。(大豆さん)

 

日本とドイツの戦後処理には大きな差があると言うことです。戦後補償に対する対応は似たり寄ったりですが、「戦争犯罪」に対するスタンスは大きく違います

確かに違いますよね・・・・
ただ、大豆さんならばご存知でしょうが、ドイツの戦後の基本方針は「ナチスによるユダヤ人虐殺に対する犯罪行為を謝罪する」ものであって、ドイツ国家、民族が戦争を行ったことに対する謝罪は、ほとんど行われていませんよね。
それに対し、日本はあくまでも国家間での賠償責任を中心に、個人間との補償は行わずに、サンフランシスコ条約で講和条約を締結した40カ国以上と、その後の韓国や中国など、国家間で戦後を解決してきた、この国家間か個人かが、両国のスタンスが違う、大きな原因ですね。


ドイツと日本では、戦後の取り組み方で、何が違ったのか。
ある方の受け売りですが、戦後日本が取り組んだのは、「平和に対する罪」「通例の戦争犯罪」の2つです。
これにより、日本は戦後「平和」がキーワードの中心となり、各国と和平条約を結び、戦争犯罪に対して、各国に賠償金を支払って来ました。

それに対し、ドイツは「人道に対する罪」を解決しようとしたわけです。
ユダヤ人に対する、6兆円を超える支払いも、全ては空前絶後の国家により600万人にも及ぶ、民族大虐殺に対するお詫びと言ってもよいでしょう。しかし、その他の賠償問題はもちろん、請求権の放棄もまだですし、国家間との平和条約すら結べていません。

 
紹介していただいた、記事の切り抜きも、予想通り見事なまでにナチス党員の犯罪行為ですね。
ご存知ですか? 同じドイツ軍でも、ナチス党ではなかったロンメルは、未だにドイツでは英雄なのです。
同じ、連合軍を倒した将軍であっても、ナチス党は犯罪者で厳しく罰しますが、ナチス党でなければ、ロンメルなどは軍艦に名前までつけられています。 酷い言い方をすれば、ドイツはナチスという組織に、全ての戦争責任を押し付けて、ナチスが行った犯罪に関しては、手厚く補償を行うけど、その他は責任は放棄しているともいえます。

 

旧ナチス親衛隊員の墓なんか国家元首がお参りしたら大変なことになります

まあ、これもその通りなんだけど、ナチスの親衛隊だからですよ。
これが、ドイツの外交術の旨さと言えば、それまでなんでしょうが、ドイツはナチスに対する犯罪行為の謝罪だけは、むしろ目立つように声高々に、大げさに行っております。
ポーランドでは、ユダヤ人慰霊碑に土下座までしております(普通の戦没者の慰霊碑に対しては知らない)。
目立つパフォーマンスにより、他の事から目をそらしているんでしょうけどね。

日本は、寡黙ですよね。
でも基本的には、小泉首相などは、明白に参拝すると言って、その理由まで言っていますが、これはミエミエにはならないのでしょうか。
もちろん、マスコミ(特に、従軍慰安婦などで捏造したアサヒなど)にも問題がありますが、マスコミ自身が、自分の思想とは違う考えに対しては、了解せずに攻撃を続けますからね。

 

「なあなあ」ではなく「見え見えに」正式処理することで、ドイツは周辺諸国や国際社会にバッシングの材料を与えない、という外交戦略をとっています。国益を考えて、もっともいいと思われる道を選択したのでしょう。

私が思うに、基本的に、国益にかなった優れた外交戦略だと言う考えには同意いたします。
やはり、大陸の歴史ある大国ドイツと、島国で外交経験が少ない日本の政治家との、レベルの差は非常に感じますね、この辺はドイツを見習って欲しいものです。


しかしながら、お互いの請求権を放棄した条約、平和条約を結ぶ、これは最大の正式処理だと考えます。
そのミエミエの処理を無視し、国内で騒ぎ立てるのが、一部のマスコミでありますよね。
正式に国家間で結んだ条約以上に、国は、何を正式処理すれば良かったのでしょうか。

また、ドイツがバッシングの材料を与えていないのは、何もドイツの外交による成果だけとは思っていません。
長くなるので、深くは書きませんが、そもそも欧州諸国は歴史的に、どのような関係であったのか、中国、韓国と日本のような、双方による戦争そのものをあまり経験したことの無い、双方できちんとした戦後処理を行ったことが無い国々とは、また違った関係が生まれてくるのは、ある意味当然だと思っています。


そして、改めて思うのは、ドイツのように戦後を全く終了していないケース、ユダヤ人以外は救われず、国家間ではまだ戦後が終っていない状態と、日本のように、国家には戦争責任で賠償を支払い、戦後を国家間で終了させているケースと、どちらが純粋に外交上として見た場合、好きですか?
まあ、「好きですか」と聞いたのは、どちらが正しいのか、と言う問いかけは、あらゆる面で全く違うドイツと日本において、その問いかけが自身がナンセンスだと分かっているので、日本人としてどちらが好きか、と言うわけですけど。


私は、中国や韓国以外を見てもわかるように、日本がさっさと謝罪する形で、講和条約を結んで賠償金を支払い、国家間で仲直りをしたやり方が、良かったと思っていますよ。
個人補償を中心に、1つ1つ謝罪を明確に行っていれば、中国や韓国はそれで満足だったのでしょうかね?
「漢江の奇跡」は消え、今の韓国はなかったでしょうが、それに加えて、残りの45カ国でしたか、日本が過去に補償した国々は、どんな目で日本を見るでしょうね、私は日本の外交の基本方針は間違っていないかったと思います。
(もっとも、サンフランシスコ条約を含め、ほとんどがアメリカ主導の外交でしたけどね)

そもそも、日本とドイツの戦後補償を比べて、ドイツを参考にすればよかった、などは日本以外の国としては、どこがそれを言っているのでしょうかね? 私の勉強不足で、他に聞いたことがないのですが。

 

国家同士の約束事なんて、個人にはあんまりピンと来ないですよね。「見え見え」であっても、賢く振る舞ってもらう方が「わかりやすい」=国益にかなうと思います。

すみません、どの程度までの話を分かりやすいと仰っているのか分かりませんが、個人的には「賢く振舞う」と「譲歩する」や「相手の言いなりになる」のは、同じだと思えませんし、「譲歩」が必ずしも国益に結びつかない場合が多いと思っています。 また、靖国神社参拝を中国がやめろ、と言って止める事は、中国に対する譲歩だと思っています。

私の考えでは、靖国神社参拝そのものを、本当に止めさせたいから、中国が出しているのでなく、彼らが日本に対する外交の一環として、その靖国神社反対を持ち出して来ているので、中国の要請に則って参拝を取りやめたとしても、日本にはなんらプラスになるものは無いと思えます。 もし、譲歩するのであれば、あちらからも何かしらの譲歩を得て、お互いバーターを取り付ける事が、国益に繋がると思いますけど。

まあ、靖国神社参拝に関しては、国内でも宗教分離だの、戦犯分祀だの、宗教施設建設だの、いろんな意見が出ていますでの、国内でそれらの問題点を論議する分には、問題ないと思っておりますけどね。


 

他にも、いろいろレスを返したかったんですが、こちらも長文になったので、この辺で終ります。
本当に、お付き合いくださってありがとうございます。
今回、「日本が国としての総括をすること」に関しては、今までは国家方針などもあり、さほど気にしておりませんでしたが、それが出来れば、確かに欲しいなと思うところです。
ただし、歴史認識の問題ですから、いろんな解釈もあるわけで、難しい作業になるとは思いますが。
また、よろしくお願いします、今度、大豆さんのブログにも遊びに行かせて貰います。

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コメント

はじめまして。

中国との問題に関して思うのは、
日中共同声明の「5 中華人民共和国政府は,中日両国国民の友好のために,日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。」
というのが問題の根底にあるんだと思います。
このとき、国内の一部のrealistsは「これは後で問題になるから払っておいたほうがいい」と主張したんですが、残念ながらその懸念の通りになってしまったわけで。
日本は日中国交正常化・平和条約に関して52年の日華平和条約と矛盾しないようにしたためにこういう条文になってしまったんですよね。
(日華平和条約議定書「1(b)中華民国は,日本国民に対する寛厚と善意の表徴として,サン・フランシスコ条約第十四条(a)1に基づき日本国が提供すべき役務の利益を自発的に放棄する。」)
ですから、戦後賠償請求権の放棄という解決ではなく、戦後賠償への対応という形でけりをつけるべきだったと思います。
こうなってしまったのは、日本側の面子を立てるという理由と、中国の戦略的判断が合致した結果と言えましょうか。

投稿: 真鶴さら | 8月 06, 2004 17:06

真鶴さん、コメントありがとうございます。

う~む、なかなか鋭い指摘ですね。
私はもちろん、年齢的に実際の日中共同声明の話は知りません。
ただ、今まで勉強した中で、当時のリアリスト達が、請求権放棄に不安を持っていたという話は知りませんでした、勉強不足ですね。
せいぜい、政治家の中には、賠償請求をしなかった蒋介石に配慮して、日中平和友好条約を結ぶことに反対していた議員もいた、と言うレベルの話までですね。


私は、第一次世界大戦後のドイツを教訓として、戦勝国が膨大な賠償金を課すことをしなかった、蒋介石も日本軍と戦いながらも、日華平和条約で戦勝国でありながら、請求権を放棄してくれた。
そして、その後の日中共同声明では、台湾政府が放棄きているものを、台湾を中国だと認めさせようとしているのに、今更請求することも出来ず、それを継承して、請求権放棄をしたのだと、簡単に考えておりました。

確かに、日華平和条約を結んだ時の戦後と違い、72年の時の共同声明時には、日本は賠償金は支払えるほどの経済力を身につけていたので、後腐れなく支払ってしまうのも、1つの方法でしたね。
なるほど、これは真鶴さんの仰るとおりだ。

ただまあ、国交回復30年も経過しておりますし、あくまでも日本はODAなど、有象無象あらゆる形で援助も行って来ましたので、これで日本としては、カリを返したと、そろそろ割り切ってもいいんじゃないでしょうかね。(笑)
感謝と、畏敬の念を持ち続けることと、頭が上がらないので援助を続けるのとでは、全然違いますからね。
どちらにせよ、いつまでもお互いが戦後に縛られる必要はないかと。

投稿: akinopapa | 8月 06, 2004 18:14

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