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2月 17, 2004

訴訟天国

こんな記事を見かけました。

 トラックから転落の写真家、運送会社を告訴
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 ニューヨーク・マンハッタンで、グランドゼロ跡地を撮影しようとしてゴミ収集車から転落した
 写真家が運送会社を告訴したと、10日付の『Daily News』が報じた。

 男性は、停めてあったゴミ収集車に上りグランドゼロ跡地を撮影しようとしたところ、
 トラックが動きだしたため転落した。
 事故が原因で脳に障害を受けた男性は、運送会社に5000万ドルの賠償金を求めている。

『マイタウンUSA』編集部

またアメリカか、と笑ってすむ話じゃない。

そう言えば、1月14日号の「ニューズウィーク日本版」にも特集記事が出ていたが、今、アメリカではあらゆる面で、訴訟が発生し、麻痺状態に陥っているそうだ。

例えば、企業がある州でスポーツ大会を開き、その州の学校の教育プログラムに、毎年5000ドルを寄付して来たが、最近の大会で、3塁ベースに滑り込んで脚を骨折した男性が、市を相手取って10万ドルの損害賠償請求訴訟を起こした事件があり、スポンサー会社も訴えられるかも知れない、と言う不安になり、今年はその大会を中止したそうだ。

企業からみれば、教育振興に役立ってもらおうと寄付するのだが、怪我した人が訴えてしまった場合、高額な賠償金を支払わなければならない可能性も高く、何も出来ない状態になっている、というもの。

これに似た話で、公園からおなじみのジャングルジム、ブランコ、滑り台、シーソーなどの遊具が撤去されているそうだ。 日本でも、最近、危険な遊具に関して裁判沙汰になったが、アメリカの場合、怪我をしたら、まずは管理責任を求めて、行政を訴えるそうだ。
行政側も、怪我をするたびに訴えられてはかなわないと、遊具を撤去する。
公園から遊ぶものがなくなり、家でおとなしくしている子供たちは、肥満になり、親はマクドナルドを訴える、といったばかげた話も起きている。


今アメリカでは、牧師は懺悔や相談は、扉を開けっ放しで行う、密室では訴えられた場合、証人がいないから。 カンニングした子供を叱った教師が訴えられ、歩道で転んだり、市営ゴルフ場で雷に打たれても、自治体を訴える。 公園でガチョウに襲われたと訴え、自殺を防げなかったと牧師を訴え、自分の子供が選手に選ばれなかったのはおかしいと、コーチを訴える。
刑務所でバスケットをしていて怪我をすれば、囚人が看守を訴え、逃亡犯が犯行後3日目に捕まったが、その逃亡中に凍傷にかかり指を失ったが、それは警察がすぐに捕まえなかったから、指を失ったと、ここでも訴訟が起きる。


もう日本人から見ればムチャクチャだ。
アメリカの弁護士は、日本に比べて非常に多く、このまま数年で、アメリカ人の5人に1人は弁護士だろう、などというキツイ見方もある。 優秀な弁護士はともかく、これほどいる弁護士の末端には、常にお金になる事件は無いかと、嗅ぎまわっており、何か見つけた場合、ハイエナのごとく、被害者を訪ね、訴訟を起こすように説得するのだ。 中には、病院の待合室で待機し、交通事故の救急として運ばれてくる患者を、片っ端から訴訟を持ちかける輩もいるそうだ。


それもこれも、訴訟費用がべらぼうに安い、タダのものも多いからだ。
日本では、この間青色LEDの200億円訴訟があったが、あれは訴えた中村氏は、裁判費用の印紙代として2千万円ほど払っている。 金額が上がれば、裁判費用も跳ね上がる。
タダのアメリカでは、ダメもとで訴えることが出来、弁護士費用も勝ち取った金額の何割かを払うだけでよいので、被害にあった人は、面倒なことは弁護士がしてくれので、まず何が何でも、とりあえず訴える。 その上で、勝てば大金が入り込んでラッキーだし、負けても費用はかからないので、自分ではそんなに損はしない、こんな馬鹿げた図式になっている。

皮肉なことに、アメリカは、個人の権利を追及するあまり、自由を失ったようだ。
千円ほどの簡単な商品に、読むのに何年もかかるような厚い説明書が付き、医者は身に覚えの無い訴訟に恐れ、そのために保険に入り、その保険料が高くなり、経費削減のためにリスクの高い治療は行わなくなり、困る患者も増えるなどの悪循環も発生し、また、訴訟を恐れる病院は、真実を徹底的に隠そうとする。
日本では、民事では被害金額しかほとんど認められず、慰謝料もわずかだが、アメリカでは、懲罰罰金と言う言葉がある。

良い例が、タバコにまつわる裁判で、平気で280億ドル(3兆円)とか100億ドルを超える賠償金命令が、陪審員によって出される国だ。 日本では、怪我をして休業して場合、せいぜい、休業日数の収入分と、通院代にプラスアルファ10万円もあれば御の字か。
ところが、アメリカでは場合によっては、50億ドルの判決も出たことがある。
そりゃ、訴訟費用はタダみたいなもの、もし勝って1億ドルでも分捕ることが出来れば、一夜にして大金持ちだ、やめられないはずだ。


こんなばかげた制度、日本では絶対に真似してはならないですね。
太ったには、マクドナルドのポテトを食べたからだ、といって訴えるアメリカを、嘲笑する感覚は、非常にありがたいと思わなければなりませんね。

(3月26日 改行などの文章整理、修正)

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